測度0なブログ

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単射・全射・全単射

前回、写像について書かせてもらった。

 

as-jimao.hatenablog.com

今回は表題の概念について書いていこうと思う。中でも全単射は非常に性質がよく重要だ。

さて、まず単射について話をしよう。集合A,Bとその間の写像が与えられた時写像f:A \Rightarrow{B}単射であるとはa_1,a_2\in{A}に対して

             f(a_1)=f(a_2)\Rightarrow a_1=a_2

が成立することである。これは一体何を言っているんだろう?数学の概念を学習する時はその裏側で数学者が何を言いたいのかを考えることが重要だ。

f(a_1),f(a_2)はどちらもBの元だ。Aの元であるa_1,a_2にそれぞれfを作用させてBの元として等しかった時、実は元々Aの同じ元でしたという具合なのである。

つまり、それぞれのAの元に対して別々のBの元が定まっているのである。

 

例を見てみよう。A={1,3,5},B={2,4}とし写像fを

                                f(1)=2,f(3)=4,f(5)=2

と定める。このfは単射ではない。なぜなら1と5についてBの同じ元が対応してしまっているからである。定義に従って詳しく見てみるか?

                       f(1)=f(5)=2

が今成り立っている。fが単射ならば1=5となるがこれは明らかに成立していない。よってfは単射でない。

もうすこし数学っぽい例を見てみよう。A= \textbf{R},B= \textbf{R}とし関数fを(数を対応させる写像を関数という)

                                  f:A\Rightarrow{B},\hspace{5pt}f(a)=a+1 \hspace{5pt} a\in{A}

と定める。これは中学の時に勉強したいわゆる一次関数だ。このfは単射である。実際、縦軸y,横軸xでグラフを書いてみればわかるがyに対してただ一つのxが対応していることが分かるだろう。ここでは定義に従って示してみる。a_1,a_2\in{A}に対して

                               f(a_1)=f(a_2)

が成立しているとしよう。この時、fの定めかたから

        a_1+1=a_2+1\Leftrightarrow\hspace{5pt} a_1=a_2

よってfは単射。 

 

次は全射についてだ。写像f:A \Rightarrow B全射であるとは全てのBの元に対してあるAの元が一つ定まっていることである。正確に書くと

      ^\forall b\in B,^\exists a\in A\hspace{5pt}s.t. f(a)=b

英語で"For all b, there exists a such that f(a)=b"といった具合だ。ただの写像は行き着く先では必ずしもaと対応している元がなくても構わなかったのだが全射は全てのBの元に対してAから飛んでくる元がありますよというわけである。

例は・・・ちょっと疲れたので後日また編集する。全射かつ単射である写像全単射という。集合A,Bの間に全単射が存在する時二つの集合は同型であるという。

 

さぁ、ここが現代数学への第一歩目だ。これらの概念はきちんと自分の頭の中で整理して使いこなせるようになろう。