測度0なブログ

数学、映画・本の感想・解釈 あくまで個人の見解です。

映画「タイタニック」~自由への飛翔~

言わずとしれた世界的大ヒットを記録した映画「タイタニック」。自分も子供の頃に繰り返し見た記憶が残っており海に対する恐怖だとか目の前で何かとてつもないことが起こっていると子供ながらに感じた印象がある。

 

そんなタイタニックだがTOHOシネマズで午前10時から過去の名作を再びスクリーンで上映するという企画が行われており先日、鑑賞してきた。

 

asa10.eiga.com

 

芸術作品を鑑賞する上で面白い点は様々な視点から考察・解釈を行うことが可能であることだ。経済学的に見て資本主義からもたらされる貧困問題について考察しても面白いかもしれないが今回はよそう。

この映画の素晴らしい点を挙げるときりがないが特に各俳優陣の演技は圧巻である。特にローズの母親のゴミを見るような目だとか救助ボートに乗り込んだローズを見つめるジャックのなんとも言えないような表情は最高だ。

では具体的な内容の考察をしていこう。まず、世の中のメルヘン心を持つ者たちには悪いが心理学的に見るとローズとジャックの恋愛は短期的なものと言わざるを得ない。突然出会った自分の知らない世界を見せてくれる者との情熱的で熱い数日間、これとナンパに差異はあるか?世間の人間がこのようなシチュエーションに憧れを少なからず持っていることもヒットの要因の一つと言えるかもしれない。ちなみにメンタリストのDaigoからの入れ知恵だが短期的な恋愛なら自分と違う世界を持っていると思わせることが重要なファクターであるが長期的な恋愛を望むのであれば知性と親切心だ。ただし、これは男に限る。もちろん映画は娯楽なのでこんな細かいことは気にせずに自分を映画の中のキャラクターに投影してラブロマンスを楽しむ見方も当然アリだ。

 

見方を変えよう。ローズは上流階級のしきたりや束縛にうんざりしている。あるいはより抽象化してある集団の中でのイデオロギーや常識と考えても良いかもしれない。

彼女と上流階級との食い違いは彼らを代表するような存在であるフィアンセとの関係からも伺える。当時、名が売れていないピカソやモネを痛烈に批判していたのは盛大なる皮肉だ。そんな折に自由を代表するような存在であるジャックが現れる。ジャックへ引きつけらるのは彼女の自由への渇望だ。絵描きのジャックは彼女の心の叫びを見極め組織からの救出を図る。母親がローズのドレスの紐をしっかりと結ぶシーンがあるがこれは組織へと今一度、鎖でつなぎ直すことを暗示している。そして、かの一番有名なあのシーンだ‥

 

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夕焼けをバックにした息を呑むような美しいシーン‥

「飛んでるわ!」

鳥かごから自由への飛翔を遂げたローズはジャックと熱い口づけを交わす。さすがの自分も胸キュンした笑

 

そして船の氷山衝突からはそれまでの雰囲気からは一転してパニック映画へとその様相を変える。色々な人間の生き様があるがここではローズとジャックに焦点を絞って話を進める。

そして船は沈み冷たい海に放り出されたジャックとローズだがジャックはローズを残し、凍死してしまう。命を助けられたり、自由に生きる手助けをしてもらったジャックとの決別は一人で強く生きていくことの決意の表れと言えるだろう。

そして彼女は強く生きた‥辛いこともあったろうがそれを含めて人生を謳歌した。やりたかったことはすべてやった。

 

これは単なる恋愛ものではなく大空を羽ばたく鳥のような自由への飛翔の物語なのである。